どんな学者もどんな古神道家も知らない「天津祝詞の太祝詞」その6

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「トホカミヱヒタメ」とは何か?

もっとも、「トホカミヱヒタメ」という言葉は、平安末期の「江家次第」という本に出ている古い言葉ではあります。

亀トには、亀甲そのものを忌火にくべて裂け目を出す時に、その亀甲の上か裏側に、マチガタといわれる縦横のスジの刻み目をいれます。

そのスジの部分に「ト・ホ・カミ・エミ・タメ」の名称がつい ています。

そして、「と・ほ・かみ・ゑみ・ため」の五つの線を焼いて占う。

その五つの線を焼いて、表にあらわれたひび割れの形で吉凶を判断します。

これを太占(ふとまに)と言います。

その亀甲を火にくべて亀裂がはいるまでのあいだ、例の「トホカミエミタメ」の呪言を百千辺も唱えつづけるというのです。

結局、神の御心を知る為の言葉として、この言葉が唱えられていたのでしょう。

この説は、はじめ、<三種の祓詞>と称し、次の三つを、「天津祝詞の大祝詞」としていました。

「吐普加身依身多女(トホカミヱヒタメ)」は天津祓の「遠祖神よ恵みを下さい、或いは、笑み給え」の意味。

「寒言神尊利根陀見(カンゴンシンソンリゴンダケン)」は国津祓の「天地万物」の意 味。

「祓ひ玉ひ清め給ふ(ハラヒタマヒキヨメタマフ)」は蒼生(あおくさ)祓 の三つです。

やがて、中世の吉田神道が、こりゃおかしいぞ、と考えました。

どうおかしいと考えたのでしょうか。

寒言神尊利根陀見(カンゴンシンソンリゴンダケンは、周易八卦思想の<乾(けん)兌(だ)離(り)震(しん)巽(そん)坎(かん)艮(ごん)坤(こん)>であり、日本の大和言葉ではないじゃないか、と考え、国津祓いの部分を削除してしまったのです。

それで三種の祓い詞ではなくなったのです。

重胤の場合は、なにを考えていたのか、そのままで変更していません。

一方では、『トホカミヱヒタメ』だけでも、トホ=刀、カミ=鏡、タメ=玉 で「三種の神器」を示すので「三種の祓い詞」としています。

類推こじつけでしかないのですが、この強引さと独断とにはただただ閉口(へいこう、どうしようもなく困る)するばかりです。

「トホカミヱヒタメ」を三回繰り返し、これに「祓ひ玉ひ清め給ふ」を唱える「三種の祓詞」にも変容したりもしています。

とにかく、こうした珍説を立てて、平田篤胤の「天津祝詞」と共に世に広められるようになりました。

しかし、トホが刀で、カミが鏡、タメが玉だなどという言語上の根拠は、実は、どこにもないのです。

それを「三種の神器」を示すので「三種の祓い詞」とするとは飛躍もいいところです。

牽強付会(こじつけ)ここに極まれり、といったところでしょうか。

また、「トホカミエミタメ」を陰陽五行説から、ト=水、ホ=火、カミ=木、エミ=金、タメ=土と当てはめる説明もありますが、これもまた根拠がありません。

それから、トホカミエミタメ八神は、『宮中ご八神の大神さま』をあらわすという説もあります。

この説に込められた気持ちは、ただ宇宙神的、地球神的神様を唱えてその威力に頼めば、どんな罪けがれでも祓って下さる、という発想から作られた説でしかないと思います。

なかには、こんなのもあります。

トホカミエミタメ

甲(きのえ)乙(きのと)
丙(ひのえ)丁(ひのと)
戊(つちのえ)己(つちのと)
庚(かのえ)辛(かのと)
壬(みずのえ)癸(みずのと)

祓ひ給ひ 清め出給ふ
(はらひたまひ きよめでたまふ)

トホカミエミタメ

子 丑 寅 卯 辰 巳
午 未 申 酉 戌 亥

祓ひ給ひ 清め出給ふ

トホカミエミタメ

乾(けん)兌(だ)
離(り)震(しん)
巽(そん)坎(かん)
艮(ごん)坤(こん)

祓ひ給ひ 清め出給ふ

とにかく、原理的なものを持ってきて権威づけ、それを「天津祝詞」にしているだけです。

これを繰り返すのですね。

これを大真面目に「天津祝詞」と信じてやっておられるわけです。

「トホカミエミタメ」説も実証性でくずれる

とにかく、「トホカミエミタメ」という言葉には、亀卜の時に唱える言葉だという以上の情報はなく、何故この言葉が「天津罪・国津罪の一切」を祓う「祓いのための言霊」たり得るのか、はなはだ疑問である、という外はありません。

そして、決定的なものは、やはり、宣長説のところでも申し上げたように、説や能書きではなく、ずばり実証性です。

何度も申しますように、説や能書きでは、あくまで、仮説です。

最後にものをいうのは、コレです。

それが、真の科学であり学問であり真理です。

「その木の善し悪しはその実によって知られる」とは実に至言(しげん、物事の本質を的確に言い当てている言葉)です。

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