天津祝詞の太祝詞(あまつのりとのふとのりと)とは何か

 

般若心経 

仏教に 般若心経(はんにゃしんぎょう)というお経があります。

ある日ある時、観自在菩薩(かんじざいぼさつ)というえらいお坊さんが、いつものように「悟りに至る智慧」の行(ぎょう)をしていると突然に天からの啓示があり「この世はすべて何の実体もない夢幻(ゆめまぼろし)の世界である」という悟りを得ると同時に、この世の一切の苦しみや災難を消滅させる不思議な呪文を授かりました。

その呪文(じゅもん)を唱えると「一切の苦しみをよく取り除くことができる)」と いうのです。

その呪文によって、どんな病気でも貧乏でも家庭苦でも、つまりどんな苦しみでも解決することが出来るというのです。それは、最高の呪(じゅ)であり比べようもない呪であり神のような全知全能の呪文だというのです。

その呪文の効能の秘密は、「ギャーテイ ギャーテイ ハラギャーテー ハラソーギャーテー」という呪の中にある、というのです。

信じられますか?

それは本当でしょうか。

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ところが わが神社神道においても 同じような秘密の「祓い言葉」があります。

それは「大祓詞(おおはらいし)」と言われるものの中にあります。

少し大きな神社などに行くと その冊子や祝詞(のりと)などが授与されています。

その「大祓詞(おおはらいし)」にも 般若心経と似たようなことが書かれています。

一切の罪穢(つみけがれ)が「天津祝詞の太祝詞(あまつのりとのふとのりと)」の神語(かみご)を唱えることによって消滅するというのです。
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大祓詞前段

そこでその「大祓詞」というものを、少し長いのですが引用してみます。

一行ずつにひらがなをふりました。

「高天原に神留り坐す 皇親神漏岐 神漏美の命以ちて

たかまのはらにかむづまります すめらがむつかむろぎかむろみのみこともちて

八百萬神等を神集へに集え賜ひ 神議りに議り賜ひて

やほろずのかみたちをかむつどへにつどへたまひ かむはかりにはかりたまひて

我が皇御孫命は 豊葦原水穂國を 安國と平けく知ろし食せと

あがすめみまのみことは とよあしはらのみづほのくにを やすくにとたひらけくしろしめせと

事依さし奉りき 此く依さし奉りし國中に 荒振る神等をば

ことよさしまつりき かくよさしまつりし くぬちに あらぶるかみたちをば

神問はしに問はし賜ひ 神掃ひに掃ひ賜ひて

かむとはしにとはしたまひ かむはらひにはらひたまひて

語問ひし磐根 樹根立 草の片葉をも語止めて 天の磐座放ち

こととひしいはね きねたち くさのかきはをもことやめて あめのいはくらはなち

天の八重雲を伊頭の千別きに千別きて 天降し依さし奉りき

あめのやへぐもをいづのちわきにちわきて あまくだしよさしまつりき

此く依さし奉りし四方の國中と 大倭日高見國を安國と定め奉りて

かくよさしまつりしよものくになかと おほやまとひだかみのくにをやすくにとさだめまつりて

下つ磐根に宮柱太敷き立て 高天原に千木高知りて

したついはねにみやばしらふとしきたて たかまのはらにちぎたかしりて

皇御孫命の瑞の御殿仕へ奉りて 天の御蔭 日の御蔭と隠り坐して

 すめみまのみことのみづのみあらかつかへまつりて あめのみかげ ひのみかげとかくりまして

安國と平けく知ろし食さむ國中に成り出でむ 天の益人等が 過ち犯しけむ

やすくにとたいらけくしろしめさむくぬちになりいでむ あめのますひとらが あやまちおかしけむ

種種の罪事は 天つ罪 國つ罪 許許太久の罪出でむ 此く出でば

くさぐさのつみごとは あまつつみ くにつつみ ここだくのつみいでむ かくいでば

天つ宮事以ちて 天つ金木を本打ち切り 末打ち断ちて

あまつみやごともちて あまつかなぎをもとうちきり すえうちたちて

千座の置座に置き足らはして 天つ菅麻を本刈り断ち 末刈り切りて

ちくらのおきくらにおきたらはして あまつすがそをもとかりたち すえかりきりて

八針に取り裂きて 天つ祝詞の太祝詞事を宣れ

やはりにとりさきて あまつのりとのふとのりとごとをのれ

以上が「大祓詞」前段です。
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大祓詞後段

次に、「大祓詞後段」を記します。

此く宣らば 天つ神は天の磐門を押し披きて

かくのらば あまつかみはあめのいはとをおしひらきて

天の八重雲を伊頭の千別きに千別きて 聞こし食さむ

あまのやへぐもをいづのちわきにちわきて きこしめさむ

國つ神は高山の末 短山の末に上り坐して 高山の伊褒理

くにつかみはたかやまのすえ ひきやまのすえにのぼりまして たかやまのいぼり

短山の伊褒理を掻き別けて聞こし食さむ 此く聞こし食してば

ひきやまのいぼりをかきわけてきこしめさむ かくきこしめしてば

罪と云ふ罪は在らじと 科戸の風の天の八重雲を吹き放つ事の如く

つみといふつみはあらじと しなどのかぜのあめのやへぐもをふきはなつことのごとく

朝の御霧 夕の御霧を 朝風 夕風の吹き拂ふ事の如く

あしたのみぎり ゆふべのみぎりを あさかぜゆふかぜのふきはらふことのごとく

大津邊に居る大船を 舳解き放ち 艫解き放ちて 大海原に押し放つ事の如く

おほつべにをるおほふねをへときはなち ともときはなちておほうなばらにおしはなつことのごとく

彼方の繁木が本を 焼鎌の敏鎌以ちて 打ち掃ふ事の如く

をちかたのしげきがもとを やきがまのとがまもちて うちはらふことのごとく

遺る罪は在らじと 祓へ給ひ清め給ふ事を

のこるつみはあらじと はらへたまひきよめたまふことを

高山の末 短山の末より 佐久那太理に落ち多岐つ

たかやまのすえ ひきやまのすえより さくなだりにおちたぎつ

速川の瀬に坐す 瀬織津比売と云ふ神 大海原に持ち出でなむ

はやかはのせにます せおりつひめといふかみ おほうなばらにもちいでなむ

此く持ち出で往なば 荒潮の潮の八百道の八潮道の潮の八百會に坐す

かくもちいでいなば あらしほのしほのやほぢのやしほぢの しほのやほあひにます

速開都比売と云ふ神 持ち加加呑みてむ 此く加加呑みてば

はやあきつひめといふかみ もちかかのみてむ かくかかのみてば

氣吹戸に坐す氣吹戸主と云ふ神 根國 底國に氣吹き放ちてむ

いぶきどにますいぶきどぬしといふかみ ねのくに そこのくににいぶきはなちてむ

此く氣吹き放ちてば 根國 底國に坐す速佐須良比売と云ふ神

かくいぶきはなちてば ねのくにそこのくににますはやさすらひめといふかみ

持ち佐須良ひ失ひてむ 此く佐須良ひ失ひてば 罪と云ふ罪は在らじと

もちさすらひうしなひてむ かくさすらひうしなひてば つみといふつみはあらじと

祓へ給ひ清め給ふ事を 天つ神 國つ神 八百萬神等共に 聞こし食せと白す

はらへたまひきよめたまふことをあまつかみくにつかみやほろづのかみたちともにきこしめせとまをす
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これが「大祓詞」の全文です。

この大祓詞の内容は 前段は日本建国の理念(理想)を表したものです。

後段は、神道の最も中核をなす「祓い」の重要さとその祓われ方の道筋を表現しています。

「どのようにして祓いがなされていくか」が神話仕立てで語られています。

神道の真髄は「大祓詞」にありますが この大祓詞そのものの真髄とはなんでしょうか?

それは疑いもなく「天津(あまつ)祝詞(のりと)の太(ふと)祝詞」でしょう。

だって その「太(ふと)祝詞」を唱えれば「すべての罪けがれが消える」と言っているからです。 

しかしそんな「すべての罪けがれが消える」などと言うそんな万能な言霊の祝詞などほんとうにあるのでしょうか?

それが神道の中にもあるというのです。

少し長くなりましたので 詳しくは次回に譲ります。

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