大和言葉の中の弥生語6―タ行の弥生語は「物量の世界」です

やまと言葉のタ行の起源6

今回は、やまと言葉の起源としての「タ」行について解説します。

弥生語では、タ(T)行の子音は、すべて「物量、物の量」を表わします。

そして子音(しいん)は意味を表し、母音(ぼいん)は、その子音の意味の状態、強さを表す、という原則があります。

日本語の場合、子音は、必ず母音を含んでいます。

どの子音にも母音があります。

弥生語では、母音は、ア  オ  ウ  イ の四母音です。

そしてこの母音の順序は、母音の持つ強さを表しています。

現代語のようにアイウエオの順序ではありません。

朝鮮から入ってきた母音エ

エは朝鮮から入って来ました。

エという母音はもともと日本にはなかったのです。

六世紀以後のことでしょう。

ですから、元東大教授の大野晋(すすむ)さんが「日本の文献で万葉集のような古い文献には<母音エの入る言葉がほとんどない>」と言っておられる指摘は、さすがに専門家でわかっておられると感服しております。

ところが、高名な吉田神道の吉田兼俱(よしだかねとも)などは「日本書紀神代巻」のなかで「アイウエヲの五十字は神代より之れ有り」などと、ホントにいい加減なウソを平気で言っています。

大野晋(おおのすすむ)元東大教授

実際、この手の学者や神道家はとても多いです。

まあ、しょせん学者だから仕方がありません。

学者とは「今、現在、学びつつある過程の者」だからです。

読んで字のごとし。

当然わたしも同じです。

ですから間違っているところもあちこちに多々(これも弥生語タ行の言葉)あるかと思います。

吉田兼倶のいた吉田神社

ご指摘くだされば有難く存じます。

ほとんどの人が、探求の途上にあって試行錯誤の旅のなかにあるのだと思っています。

本当に分かった方、つまり宇宙38億年の叡知につながっておられる聖者のような存在ではないからです。

本題に戻ります。

そして、この母音の順序は、実は、弥生語における母音の強さの順序なのです。

アが最大、オはその次、ウは更にその次、イは最も弱い、という子音の意味の強さを表しています。

例を示しましょう。

弥生語、タ(T)行の子音

タ(T)行の子音は、すべて「物量、物の量」を表わしますが、母音の違いによってその分量が変化します。

例えば、

ツ(tu)――ト(to)―――タ(ta)で、母音の弱い順からその関係を見てみよう。

ツ(tu)―――――五つのツ、積るのツ

ト(to)―――――十のト、富むのト

タ(ta) ――――――タ(垂)れるほどタわわのタで、十以上の数

で、u→o→ aという母音の順序によって、その物量がドンドン増えていくことがよく分かります。

ではここに一つの現代文をを示して以上の関係をもう少し分かりやすく説明をいたします

「お金をちまちま積んでそれで富み、たくさん貯(た)める」という一文。

以上の現代文のうち傍線のところは 現代文でも弥生もでもそのままです。

つまり物量を表す古代弥生語と現代の言葉が一緒だということです。

この文章は、物量を表す古代弥生語の ti➡tu➡to➡taのた行の言葉を全て網羅(もうら)している現代の日本語です。

まずti tu to taという順序がそのまま弥生者が持つ量の多さの順序でもあるのです。

tiはiti(1)で、一番少ない量ーお金をちまちま

tuはitutu(5)で次に多い量ー積んで

toはtou(10)でtuの倍の量ー富み

taはtou(10)以上の量ーたくさん貯める

ということです。

タ行の言葉が、母音に応じてその物量が変化し母音によって物量がわかるのです。

わかりやすくないですか?

つまり、古代10以上は、手は10本でそれ以上は数えられないものとして、全て最上の母音であるaと結合してタ(ta)と言います。

10(トウ)以上のたくさんは全てta(タ)で表現しています。

まず一番大きい方の た(ta)の例を挙げておきます。

たくさんの意味のたわわ、たっぷりのた、垂れるのた、水もしたたる、のた、たくさんのた、たらふくのた、たまるのた、たんまりのた、高いのた、 多大のた、足るのた、 高皇産霊(タカミムスビ)のた、 手力雄(タヂカラヲ)のた、など今思いつくままに拾い挙げたタの例です。

次に、ト (to)の用例としては

十の「ト」、富むのトあるいは  「 とうとうやってきた」のトもこのトだだと思います。また物をとる、という時のトもこのtoです。

手力雄(タヂカラ)を祀る戸隠神社

次はツ(t u)。

例えば「鼻が詰まる」のつはこのつです。

つ      ま     る

(tu)     (mau)      (ru)

(積み重ねを)  (ますます) (する) だからです。

この反対の状態が、弥生語、サ行のところで習った「スー」という言葉です。

つまり「鼻が詰まる」の反対の状態は「鼻がスースーする」です。

最後に「チ(ti)」。

血液のことを「チ、血」と言いますが、まさにこれが小さなエネルギーという意味の「チ、tiu」なのです

このチが重なってチチ(乳、tiutiu)、流れるエネルギーの意味です。

また力(ちから)のチもこのチです。

力とは、チ       カ        ラ

(ti)      (ka)     (ra)

(エネルギーが)(最大に変化しての) (躍動)

という意味だからです。

最後に、「転換・変換」の意味を持つ二重母音aiとの結合であるテ(tai)の例。

まず、手、がこのテ(tai)なのです。

手は、例えば、左のモノを右に転換する身体の一部です。

「照る」のテもこのtaiで、「月が照る」は一番わかりやすい例です。

太陽の光を転換して月は照るのです。

テカテカに光る、もこのテ(tai)です。

テ     カ      テ    カ

(変換の) (大きな変化)

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