「人の敬によってその威(い)を増す」という神とは何か?

神社はどのようにしてできたか?

一体神社はどのようにしてできたか?、ということについて考えてみたいと思います

日本の場合、全国どこへ行っても各市町村、さらにその町でも村でも地域ごとにさらに細分化されて神社というものがあって何らかの神を祀っています。

まあ、神社には御分霊という考え方があります。

どういうことか、と言いますと、例えば、各地の稲荷神社は、京都に本社がある伏見稲荷大社からのご分霊という分け御霊(みたま)で全国に広まっているわけです。

その他、伊勢のご分霊は、各地に神明社(しんめいしゃ)とか神明宮(しんめいぐう)という名で伊勢の御分霊がお祀りされているわけです。

八幡宮も大分県は宇佐市に、宇佐八幡宮御本宮から各地に広がっています。

それは、しばしば、ろうそくの火を次々にともしていける道理で説明されます。

もっとも神社の起源となると、もっともっと古いものです。

八幡宮、稲荷社、伊勢神宮もない大昔から神社の祖型というような原始信仰が、弥生・縄文以前からあります。
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太古の神祀(かみまつ)り

古代神道の世界では、今でもそうですが、万物に神宿るアニミズム信仰が前提になっています。

森羅万象に神が宿るという前提です。

そこで、その究極のことを少し考えてみます。

つまり、宇宙の発生以前から考えると、ある宇宙の一点のビッグバンによって、宇宙が出来、太陽が出来、地球が出来、生物が出来、人間が現れたと考えると、原点は一つの宇宙の神です。

その意味では「一神教」ではあります。

しかしその一点のゼロポイント・フィールドが万物と成って万物に宿っている命の元を神とするならば、大元は同じでも森羅万象の神に分岐して、そこにも神がそれぞれの個性を持っているとすれば、多神教 ということにもなるわけです。

一即多、多即一とはこの道理を言っています。

さて、わが国の何千年も昔の古代では、神道の起源は神籬・磐境(ひもろぎ・いわさか、神を祀るための木や岩)に遡って考えます。

大きな榊の木を立て、それに紙垂(しで、紙を垂らしたもの)をつけたり、清める働きのある植物の大麻(たいま)をつけて、そこに神を祀る、そして祭りが終われば帰っていただく。

磐境(いわさか)

しかしこのやり方は、今でも例えば地鎮祭などで行っている方式です。

そして、こうしたことに多少とも関心のある方なら、問題は、そこで人の祈りが土地なら土地の神と、どのように関わって祈りの成就に繋がるのか、という最も分かりづらいところではないでしょうか?

地鎮祭

それは、これまで何度も引用している「神は人の敬によりその威を表す」という原理に基づくものです。

既に、前回に、そもそも神社というものがどのようにしてできたか、と考えると、”そもそもは宇宙に遍満する気のエネルギーでもある神霊を人の思いによってそこに集結させることによって成立する”と申し上げました。

神事というのも、すでに神の気のエネルギーが集結しているその場所で、祈りという人の気のエネルギーからなる思いを祝詞と祭式を通して感応・道交(心を通じあわせること)させて、人がその願い事を確信する行事”だと思います。

ここにおける秘密に少しだけ触れておきましょう。

神の気のエネルギーと人の気のエネルギーからなる思いを感応・道交(心を通じあわせること)させることが出来るのは、実は、前者と後者は同じものだからです。

つまり、神の気のエネルギーからなる宇宙意識と人の気のエネルギーからなる人間の意識とは、元々同じ意識だからです。

しかしながら、「神は人の敬によりその威を表す」ということを考えると、人の祀るという行為がなければ、そこに神の威力はない、ということでもあるのです。
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祀(まつ)るとは、そもそもどういうことなのか?

では、祀るとは、そもそもどういうことなのか?

祀る、とは、”何かを祀ることによって、その何かという気エネルギーに乗った思いという霊がその神社に積み重なっていくということ”なのです。

それを「一音一義(一つの音に一つの意味がある)」の古代弥生語で、マパツル➡マツル(祀る)といいました。

マ      パ     ツ     ル

(ma)          (pa)         (tu)        (ru)

(まことの姿)の   (霊)  を      (積み重ね)     (る)

という意味で、「天照大御神を祀る」とは、「天照大御神の御魂を、祈りという気のエネルギーの入った想いを積み重ねることによって、増やしていく”」ということなのです。

これを”みたまのふゆ(恩頼)をかがふる”と祝詞用語で言います。

それゆえに、神社神道では「祭祀の厳修、さいしのげんしゅう」ということをやかましく言っています。

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