禮(あや)という神事の言葉
前回に引き続き示すへんの話をしたいと思います。
示すへんは神事に関わることを表現する文字が圧倒的に多いということを話をしてきました。
思いつくままに、今回も、示すへんの言葉を用いて、いかに神事にかかわる言葉が多いかを見ていきたいと思います。
次に挙げる言葉は「禮、れい」です。略して「礼」とも書きます。
本字の方が本来の字なので「禮、れい」で、見ていきますね。
問題は豊の意味ですが、豊の上の部分は「草木がよく茂っている」意味なので、やはり地を表す言葉だと分かります。
この字は「れい」と発音する場合が多いですが、それは元々中国読みの音読みです。
日本では「あや」と読みます
「あ」 は「天」を、「や」は矢ですから、何度も言いますように、「地」の意味になります。
その天地一体の言葉なので礼儀の基本としての法(のり)という読み方もするのだと思います。
天地の理という意味で、法(のり)なのであり、礼儀の意味の礼なのです 。
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祀(まつ)るという神事の言葉
次の「祀(まつ)る」も神を祀る、という使い方で神事に関わる言葉です。
示すへんは天であり 「巳」は、地上の時刻で午前10時から12時までを表し、 古来神祭りをする最も適切な時刻とされてきたので、一般に、神主さんも午前10時に祭儀を行うことを基本としているのはそのためです。
例によって一音一義からの弥生語からの「祀る」という言葉を解いてみます。
午前十時の祀(まつ)り
祀(まつ)る、の原語は「マパツルです。
ma pa tu ru
(見える世界と)(見えない世界のエネルギーを)(積み重ねて)(いく)
という意味になるのです。
古代語のマ行はパ行と対で、「目に見える顕界(けんかい)」を表します。
パ行は「目に見えない幽界(ゆうかい)」を表し、マパで「成り立っているこの世界」で、そのうちの「パの不可視のエネルギー」を「tu(ツ)ru(る)」は「積み重ねる」という意味になります。
これを天と地をつなぐ社(やしろ)で、神職の祭祀の厳修による祈りを通して積み重ねて、その神社に大きなエネルギーを蓄積させていくのです。
これが、何度か申し上げましたように「神は人の敬(けい)によってその威(い)を増し、人はその徳(とく、神のエネルギー)によって運を強くする」という神社参拝になるわけです。
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祝(ほうり、はふり)という神事の言葉
次に祝うの「祝(しゅく)の語、示すへんは「天」を表し、「兄」は「ひざまづく」ないし「仕える」という意味からすると、やはり「地」の意味を表しています 。
祝の第一の意味は「はふり、ないし、ほふり」で、この言葉は、元来れっきとした古代弥生語であり、神に仕える神職のことをいいます。
その古代弥生語での原語は「ぽぷり(popuri)」です。
po pu ri
(ポ) (プ) (リ)
(分霊を)(奮い起こす)(終了の動詞)で神主の意味になるのです。
後世の「祝、ハフリ、ホウリ」と呼ばれる神職の語源です。
現に、江戸時代が終わるまで、鹿島神宮にも、「和田祝(わだほうり)」とか「坂戸祝(さかどほうり)」と言う上級神職の役職名がありました。
ついでに申し添えておきますと、 天皇も仁をもって神に仕える最高の神職の意味でもあり、最高位の祝(はふり、ほうり)と言うことが出来るかと思います。
そこで祭事を行うということは、お祝いごとをするということで、ですから「お祝いする」という一般の意味に転じていったのだと思います。
斎(さい)と禁(きん)という神事の言葉
また「齋、さい」を「いわう」とも読むが、それも示す偏の「天」と「地」を表す刀(かたな)と整う意味の象形文字からなり、やはり、「祭事を行い、これに対して忌(い)みつつしむ」という意味を持っています。
斎戒沐浴(さいかいもくよく)
それで「斎戒(さいかい、心身をきよめること)」などと言います。
伊勢に仕える「斎王・斎宮」などもあります。
最後に、「禁」という文字も神に関する意味を持っていることを述べてみます。
「天」を意味する示す偏と木が並んでいる林は、やはり天の依り代(よりしろ、寄り付く所)としてのご神木を連想させ社(やしろ)と同じ意味で す。
やはり神に関する言葉だと思います。